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「大丈夫。大ちゃんは、自信作のお味噌汁よそって」
「でも、味噌汁しかないよ」
ちょっと上目遣いになる大祐に、真友子は冷凍庫から取り出した冷凍ご飯を 手に振り返った。
「ジャーン。お弁当用の冷凍ご飯、食べちゃおう」
えっ……。
大きく目を見開く大祐を横に、真友子は電子レンジに冷凍ご飯を入れる。
「いいの?」
「うん。お弁当用は、今夜炊けばいいから」
「まぁゆ、神っ! やっぱり観音様だ」
嬉しそうな声で言って真友子を拝み始めた大祐に、やっぱりクスクス笑い ながら真友子は味噌汁の準備を促す。
そして食卓に具だくさんの味噌汁とご飯、昨夜の残りの切り干し 大根の煮物が並んで食事が始まると、それは前触れなく始まった。
「実はさ、これから、もっと料理を練習しないとって思ってるんだ」
「なんで? お料理に目覚めちゃった?」
真友子としては、冗談半分のつもりだった。
ところが大祐は、至って真面目くさった面持ちで、かぶりを振る。
「目覚めたっていうか、キャラ弁は無理でも、お弁当まではちゃんと
出来るようになっておかないとって思ってさ」
「やっぱり、お昼は、お弁当の方がいい?」
尋ねながら真友子は、毎朝の弁当作りの時間を予測してみる。
ところが、これは真友子の勘違いだったようだ。
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