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平日の昼下がり。
マンション5階建て最上階の角部屋にある自宅。ワンルームの部屋で何をする訳でもなく寛ぐ。
世の人達が職場、学校に行っている中でだらだら過ごす背徳感。
そんな休日を満喫している所を鳴いている様な、はたまた呼んでいるのか、独特のリズムを持って歌う声がベランダの方から聞こえる。
このリズムはよく知っている。
声の持ち主もよく知っている。
私はダラけていたとしか言いようのない状態から、素早く立ち上がりベランダの窓ガラスを横に滑らせる。
ベランダがある。その奥には電線。その上には1羽の鳩。
奴は私の登場にも驚いたりしない。
奴の視線はベランダに向いたままだ。
私は鳩を見つめる。鳩とは目が合わない。
再びホーホーホッホッーと歌いだす。その様子を冷たい目で見る。
冷たさを感じたのか、歌うのを止める。
だが、しばらくすると沈黙に耐えかねたのか歌いだす。
決してお互い立ち去りはしない。
私は冷たい眼差しで鳩の様子を見ながら以前の事を思い出す。
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