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それから、数日後。
俺は自分のところにやって来た警察官数名を前に、真っ青になることになるのである。
「すみません、勝俣謙吾さんですね?先日起きた、●●県の大量食中毒死亡事件についてお話があります。
どうにも、川に大量の毒物を撒いた人物がいるようでしてね。その毒物を運んだダンボールが見つかったんですけど……。どうにも、そこからまあベタベタと指紋が出たようで」
自分はただ、運んだだけだ。
運んだだけ。そう――死体でも、爆発物でもなさそうな、何かを。ああ。
何故そんな仕事で百万円が貰えることを、もっと怪しいと思わなかったのか。
「勝俣さん、前科がありますよね?……その時の勝俣さんのデータが残ってましてね。……指紋が、一致したんですよ。お話、署でお聞かせ願えますかね?」
俺の百十万円と引き換えに、数百人もの人間が命を落とした。
テロリストどもは今もどこかで、自分達の罪をかぶってくれた俺達のことを嘲笑っているのだろうか。
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