緊急処置、しかし陽性反応

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緊急処置、しかし陽性反応

救急車が帝国大学病院に到着すると、老人はストレッチャーに載せられ処置室に運びこまれた。 「それでは、ここでお待ち下さいね」 僕は田所さんを廊下の長椅子に座らせ、着替えると処置室に向かった。 まずは足の傷は止血のみとし、CTへ老人を運ばせる。脳ヘルニアの状態を確認する為だ。 画像検査課技師の徳竹さんに念のため頭から大腿部までのCT画像の取得をお願いする。 案の定、右後頭部に血腫が見える。そして胸部、腹部、大腿部の撮影が終わった。 僕は老人を処置室に戻し、頭部に局所麻酔を行い、右後頭部の頭皮を五センチほど切開した。ドリルで頭蓋骨に十五ミリの穴をあけゴムチューブを血腫腔内に挿入する。チューブから血液が排出され血腫の除去が終了した。頭蓋骨をチタンプレートで閉じて頭皮を縫合し、頭部の処置を終えた。
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