命の取捨選択

1/2
53人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ

命の取捨選択

一週間後、COVID-19(新型コロナウィルス)の拡大に伴う帝国大学病院の対応検討会議が呼吸器内科浜本教授を議長に行われた。 高山准教授が議事進行を行なっている。 「……ここ一週間の感染者の増加は予想を大きく上回っており、重症者を受け入れている帝国大学病院では既に全ての陰圧室を使用済みです。昨日よりICU2を簡易陰圧室として使用しております」 僕もその事は知っていた。既に一般の重症患者の対応に大きな支障が出ているんだ。 「人工呼吸器、ECMOも残り僅かになっており、数日中にCOVID-19(新型コロナウィルス)患者の受け入れ限界を迎えます」 高山准教授の言葉に浜本教授が大きく頷いた。 「ということだ。ECMOの使用が必要だった重症患者の回復率は二十パーセントに過ぎない。特に高齢で他に重篤な疾患を持っている患者さんの回復率は〇だ。つまり我々はその様な点で命の取捨選択をする必要がある。今後は回復が望める患者を優先して人工呼吸器、ECMOの使用を行うこととする」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!