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その浜本教授の言葉に僕は堪らず立ち上がった。
「どうした、山本君。救命救急科から何か意見があるのか?」
僕を浜本教授が睨んでいる。
「医師の本来の責任はどんな患者さんも見捨てず最期まで手を尽くすことです。識別救急的な対応の必要性も理解しますが、これは災害や事故ではありません。高齢で他に疾患を持っているからと言って優先度を下げることは納得できません」
僕の声に浜本教授が首を振っている。
「山本君、君はいつまでそんな幼稚な発言を繰り返すのか? 本当に変わらないな……。しかしこの方針は決定事項だ。この病院での勤務を続けるつもりなら従ってもらう。他に意見がないならこれで終了する!」
その声に出席していた医師は一斉に立ち上がり、会議室を出て行った。僕はその場に茫然と立ち尽くしていた。
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