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けれど、大丈夫。
景勝殿をはじめ、これからの人生においても
私が大切にしたいと思う人々との出会いが待っているだろう。
穏やかな日々の中で、ゆっくりと歳を重ね
長い年月と向き合っていくことだろう。
狂おしいほどに人を好きになる経験が
これから先一度も訪れることがないとしてもーーー
私は人を心の底から愛したーーーその気持ちだけで、強く生きていける。
だからどうか、樹殿もあちらの世界で幸せに生きていって下さい。
今の私には、それが唯一の願いです。
菊姫は、自分がこれから過ごす穏やかな日々、
そして亜純が過ごしていく幸せな日々にもう一度思いを馳せると、
ゆっくりと立ち上がり、外の世界へと歩き始めた。
-完-
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