ハナコトバ

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目を覚ましたのは病院だった。 ナイフを刺されて重体だったらしい、 俺を刺したのは同じサークルの先輩だった。 それも彼女をとられて復讐の鬼と化していた。 だから気づいた。 "99本の薔薇"に触れた時に彼女ができた【永遠の愛】 "黄色の菊"に触れた時に振られた【破れた恋】 そして"クローバー"に触れた時に先輩に復讐された。【復讐】 普通では考えられないような出来事が、 全て花言葉に沿ったものになっている。 赤い薔薇に触れたことで恋が始まり 黄色の菊に触れてしまったことで恋は終わった。 この能力のおかげで彼女ができて、 この能力のせいで彼女に振られた。 それからというもの絶対に花には触れないように心がけた。 しかし、触れてしまった。 しかも一番触れまいとしていた99本の薔薇に。 大学を卒業して一年目。 この能力とも4年の付き合いになる。 そして、この力で彼女と付き合い始めてから2年になる。 悪いとは思っている。しかし今の状況を捨てたくない。 花屋の店先に白い薔薇を見つけた時に見せるあの笑顔。 黄色の菊に触れれば終わってしまうのだろうか。 それから一ヶ月が過ぎ、 ついに、この能力を消す方法を思いついた。 それは、"何も変化させない" ことを "永遠に" 続けるという方法だった。 ネットが普及している現代社会で、花言葉を探すのは簡単だった。 青のヒヤシンスの【不変】とカンナの【永遠】 二つ発動すれば花束に触れても大丈夫だろう。 でも、本当にいいのか? あの子の愛も消えてしまうかもしれない。 自分自身に問いかける。 もう、この意志が変わることはないだろう。 黄色い菊に触れ、 その後、二種類の花びらに触れた。 あれから一年、 今年の妻の誕生日は初めて自分で選んだ花束を送ろう。 妻の好きな白い薔薇を入れた花束を。
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