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まだ十四歳。人生七十年と考えると、まだほんのちょっとしか生きていない子供が何を言っているのかと菫は呆れた。
だが、由真の言葉で考え込む。
「由真の言う優良物件って顔? それとも収入?」
「どっちもだよ。イケメンでも愛だけじゃ生活出来ないし、お金があっても自分好みの顔じゃなかったらキスも出来ないでしょ?」
またしても大人びたことを言う由真が心配になる。
どこで、そんな言葉を覚えたのかと。
「……誰からどんな話しを聞いて、そんな考えに至ったのよ」
「花屋の彗君。彗君のお家、両親が十歳の頃から家庭内別居してるんだって。それで、私と意気投合しちゃってさ」
そう言うと、食べ終えたアイスカップを、由真がゴミ箱めがけて投げ捨てた。適当に投げたと思ったそれは、綺麗な放物線を描いてゴミ箱に入った。
菫は思わす頭を抱える。
仲良くなった花屋のイケメン店員に、由真は家庭の事情を告げたらしい。しかも、我が家以上に彗の家庭も複雑なようだ。
「……由真、あんまり家庭の事情を他人には言わないで。彗君はまだ口が固いと思うけど、近所の噂好きのおばさん達は話を大きくするから気を付けて」
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