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「あ、申し訳ありません。お義父様なんて呼んで。あ、あの……どうしてここに?」
疑問がありすぎて困惑している菫に、海人の父、空嗣は首を横に振る。
「良いんだよ。その呼び方で。だって、また海人と結婚する予定だと聞いたよ? 結婚しなくてもその呼び方の方が嬉しいよ。菫ちゃん」
英国紳士のような優雅さでそう言われ、花束を差し出された。
「あ、ありがとうございます」
「菫ちゃんはカラフルな色が良く似合うね。中へ入れて貰っても?」
「は、はい。勿論です」
高圧的でもないが、断ることが出来ない何かを感じて菫はたどたどしく頷いた。
スリッパを出し由真のいる居間へと案内する。
「……狭いですけど、どうぞ」
そう言い居間へと入ると、由真がうさぎのヌイグルミを抱えたまま、不審人物でも見るような目で警戒していた。
「……誰?」
胡散臭そうな瞳で由真が空嗣を見上げる。
「初めまして。お邪魔します……由真ちゃんかな? 海人と由紀子から聞いているよ。熊井空嗣と言います。海斗の父親です」
「海人君のお父さん……」
思わぬ登場人物に、由真も驚いたようだ。
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