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「素直だね。由紀子に由真ちゃんの爪の垢でも煎じて飲ませたいよ」
疲れたようにため息を吐いた空嗣の前に冷たい麦茶が置かれた。
「随分とお疲れですね。お仕事が忙しいんですか?」
菫がちゃぶ台の上に三人分のお茶を置くと心配そうに空嗣を見た。
ガラスのコップを置くと、中に入っていた氷がぶつかり合う音が聞こえる。
「仕事はそれほどでもないけど、やっぱり由紀子が落ち込んでね。実は、そのことで菫ちゃんにお願いが合って今日は来たんだ」
「私に……お願いですか?」
今まで空嗣に何かをお願いされたことがない菫は途端に警戒した。
「ああ、そんなに身構えないで欲しいな。実はね……熊井家に遊びに来てくれないかな?」
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