第二章〜空虚から〜

11/17
前へ
/198ページ
次へ
「ふぅ……」  なんとか───半分食べた。  食は細くない方だったけど、病気に蝕まれてから確実に食欲は減っていった。  半分も食べれば薬を飲んでもいいだろう。纏めて十錠は流石に無理だから一度につき三錠。最後は四錠ではなく、三錠と一錠に分ける。四錠以上はつっかえてしまう。 「律ー」  不意にドアが開いて、彼女が車椅子に乗ってはいってきた。  同室の───確か小学生だ───彼が驚いたように食事のトレーから彼女に目を向ける。 「あ、───お姉ちゃん」 「結城(ゆうき)くん久しぶり」  彼女は彼───結城くんに手を振って「お邪魔します」と笑った。  結城くんは照れたように笑って頷くとカーテンを閉める。 「あ、すみません」  僕は頭を彼女に下げた。 「部屋、行けませんでした」 「別にいいのよ」  彼女は車椅子で僕の枕元に来て首を傾げた。 「謝ることじゃないし───私も悪かったし。無理強いはしない」 「でも……」  彼女はニカっと笑った。 「この話はもうおしまい。それより律に聞きたいことがあるんだけど」 「何?」 「律って今フリー?」 「え?」 「付き合ってる人、いるの?」 「えっ!? まぁ、居ないけど……なんで?」
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90人が本棚に入れています
本棚に追加