第二章〜空虚から〜

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 彼女は落ち着いた呼吸と寂しそうな笑顔で続けた。 「友達なんて病院以外いない。学校にたまに行っても孤立してたし。当たり前だけどね。ずっと行っていなかったのだから。  入院友達なんて一過性に過ぎない。私、一番の古株なんだけど、みんなは居なくなって行く。笑顔の別れも悲しい別れも。同じ歳の人も少なくなる。  それでね、まぁ普通に考えて友達と普通に過ごしたいの。でも、後半年だから欲張りたくて、彼氏が欲しい。彼氏とデートしたりって、やってみたい」 「……うん」  話がすごいところへ行ったぞ、と僕は小さく眉を寄せた。  自惚れるわけではないけど、変な予感がする。  息苦しさを感じ深く深呼吸をしたが逆効果で苦しくなってきた。 「はぁっ……はぁっ……!」 「律、大丈夫!?」 「はぁっ……うん……つっ!」  鋭い痛みが胸を貫き悶える。  結城くんが異変に気づいたのかカーテンを開けた。 「先生呼ぶ?」  ナースコースを押そうとする彼女の手を必死で押さえた。  今先生が来たらこの話は宙ぶらりんで、そして一生聞けなくなる気がしたから─── 「よ……いで」 「ん?」 「呼ばないで……はぁっ……大丈夫だから……」  僕は震える手で薬を取り出して、ベットサイドにある水で薬を流し込んだ。
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