第二章〜空虚から〜

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「……ごめん」  数分後落ち着いた呼吸でつぶやくと彼女は首を横に振った。 「私こそ……ごめんね。興奮したら心臓に負担かかるもんね。私もそうだし……この話はまた今度にしようか?」  彼女が微笑んで僕の布団を掛け直して出て行こうとする。  僕は咄嗟に彼女のパジャマを掴んだ。 「あ……」  自分の行動に赤面しながら俯く。こんなんじゃ小学生みたいだ。  言葉が続かず、黙ってしまう。 「分かった」  何も言っていないのに彼女は微笑んで向かい直した。 「言う?」  僕はコクリとうなずいた。  そして心の準備をする。 「えー、恥ずかしいなぁ」  彼女は今までの、重く、固く、沈んだ雰囲気をぶち壊すように明るい声を上げた。  僕の頬もつられるようにして緩む。口も滑らかに動いた。 「君が話すために来たんだろ。まだ準備は出来てなかったのかい?」  少し格好つけて言うと、「あはははっ!」と手を叩いて笑った。 「律も男の子っぽい時あるんだね」 「男だよ! あ、話逸らしたなぁ!?」 「えへへ、バレちゃった? 駄目?」  彼女は上目遣いで首を小さく傾げた。普通のやつがやったらムカつくだろうけど、彼女がやるとそう言った感情はなく、思わず笑って許せてしまうような魅力があった。  笑いながら頷くと彼女はふぅーっと息を吐いた。 「───律、彼氏になってほしいの」
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