第三章〜桃色〜

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  翌日───  僕が単純なのかわからないけれど、目覚めはここ最近一番よく、起き上がるのもスムーズだった。  この前なんて起き上がった瞬間に発作が起きたというのに。 「おはよう」    僕や結城くんなどを中心的に見てくれる看護師の早乙女(さおとめ)悠真(ゆうま)さんが入ってきた。  入院するまで看護師は女性が多いイメージだったけど、それは古臭い考えでこの病院は男女比が半々くらいだ。看護婦さん、などと呼ぶのはもう何年も前の事だろう。 「お、律くん今日調子良さそうだね」 「うん」 「何かあった?」  血液を採取する準備をしながら早乙女さんは尋ねた。  トレー上に注射器などが陳列している。 「律兄ちゃん、お姉ちゃんに告られられたんだよ!」  言うか言わまいか躊躇っていると、結城くんが嬉々として早乙女さんに言った。 「結城くん……」  思わず額に手を当てる。 「エヘヘ」 「え、お姉ちゃんって遠藤ちゃん?」 「うん! 僕ねぇ告る瞬間目撃したよ!」 「そーかそーか。で、律くんはなんて答えたんだい?」 「……言ってない」  言われた瞬間気がついた。  あの時わちゃわちゃしすぎて、返事をするのを忘れていた。 早乙女さんは二、三度目をパチクリさせると、手を止めた。  「えぇ!? 返事してあげなよー、早めにね。俺、前に告られた時1週間待ってって言ったらソッコーフラれたもん。そっから一回も告られたことないよ……」  早乙女さんは苦虫を噛み潰したような顔になった。 「俺だって……彼女欲しいし……後悔してるし……な……?」 「分かった」  僕は少し緊張しながらうなずいた。
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