第三章〜桃色〜

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 そうと決まったら彼女のもとにいかなければ。  ただ一つ問題がある。彼女の部屋が個室でない場合、彼女以外にもいるわけだ。  告白の返事を聞かれるのも嫌だし、おそらく他の人は女性だ。  変なやつだとか嫌がられないだろうか。それに、僕は十七年生きていて、母親の寝室以外、女性の部屋に入ったことがない。  ───まだ彼女が個室という可能性もある。  早乙女さんの言う通り、善は急げと言うし……  なに、ノックするだけだ。そこからは、なんとかなる。  自分を奮い立たせベットから立ち上がる。  今日しかない。明日、体調が悪くなって行けなくなるかもしれない。  僕も、彼女も普通の高校生とは違ってタイムリミットが確実に近づいているのだから。 「律兄ちゃん、頑張ってー」  結城くんがニヤニヤとしながら手を振った。  僕はこわばった面持ちでうなずき部屋を出た。 「……よし!」  彼女の部屋の前の来ると、かかっていたネームプレートは彼女の名前のみだった。これで心配は少し減った。  フンっと鼻息荒く息を吐き手に力を込めて、ノックする。 「はぁい」 「りつだす!」  緊張したのか舌を噛んでしまった。 「え?」  一瞬の沈黙の後盛大な笑い声が聞こえた。 「律……入っていいよ」  笑いながら彼女は言う。躊躇いがちに扉を開いて入った途端、驚いた。  大きな病室に大きな窓、巨大なベット。その横には頑丈そうな机と棚があり、一人掛けのソファもある。トイレも洗面所も、風呂も全てある。医療機器がなかったらホテルのスイートルームと見間違えるほどだ。
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