第三章〜桃色〜

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「最悪じゃん。あ、でも私なんて年長さんの時に言われたよ」 「え?」  思わず聞き返すと彼女は急に甲高い声になって言った。 「あなたはね、原因不明の難病なのよ。症例が少なくていつ、死んじゃうかが分からないのよ。唯一言えるのは大学生になれないって言うことよ、それまでに天国に行っちゃうの。悲しいね、あぁ、なんてかわいそうな私の娘ちゃん……って」  『って』を地声に戻しクスリと笑った。  どうやらさっきの声は彼女の母親の真似らしい。 「親が勝手に悲観しているだけ。『かわいそう』とか言ってるけど、その行動があっている気がしないし、そばにも居ない。私のそばにいると辛いんだって」 「そっか……」 「サイテーだよね」  彼女はひらべったく笑った。 「君の母親は僕のとこと似てるな」 「だよね」 「親って分からないなぁ……よく、親になったら分かるっていうけど親になる前に死ぬし」 「それ、分かる」 「でしょ? と、言うか話それてるけど……律なんで来たの?」  愚痴を言っていたら思わず忘れていた。──本来の目的を。 「笑わないで?」 「うん」  彼女は神妙な顔でうなずいた。 「僕、君が好きだ───付き合ってください」
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