第三章〜桃色〜

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 僕の初めての、そしておそらく最後の告白はあまりにありきたりで、ボキャブラリーのカケラもない幼稚園生のようなものだった。  恥ずかしさのあまり、ギュッと目を瞑る。  数秒後笑い声が聞こえた。馬鹿にしているように感じない。おずおずと目を開ける。彼女は本当に嬉しそうに笑っていた。 「いいの? 本当に律の気持ち?」 「うん」 「昨日の、本当に答えてくれたんだぁ……嬉しい。ありがとう」  彼女はクシャッと笑みを浮かべた。 「いいの?」 「うん、と言うか私が告ったのに」 「昨日のは冗談だって言われて、ふられるかもと思った」 「冗談なんて言わないよ。後少ししか生きれないのに、騙したって意味ないし」 「そうだね」 「じゃあ……付き合おう」  彼女の宣言はあまりにも幼稚だった。  だが、それが僕を心地よくし頬を自然に緩ますことが出来た。 「恥ずかしいよぉ……」  彼女は頬を真っ赤にして掛け布団をかぶった。  そんな彼女があまりに愛おしくて僕は手を彼女のおでこに当てた。 「何するのー」 「熱はないね」 「当たり前でしょ! 恥ずかしいもん……」 「あははははっ!」  頬を膨らませ唇を尖らす仕草は子供のようだった。思わず笑ってしまったが、一瞬遅れて苦いものが胸に残った。  ろくに社会経験をしていない彼女は、いくら院内学級に行っているとは言え、普通の女子高生と比較すると精神的に幼いのだ。  そのことが彼女の人生を象徴しているようで、僕の胸はこんなにも苦しい。
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