第二章〜空虚から〜

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 翌日もいつも通りだった。  七時に目覚ましが鳴り、顔を洗ってあまり味のしない朝食を食べる。味のしない原因は、病院食かそれとも……僕は頭を振って馬鹿な考えをしたと箸を握り直した。  食欲はイマイチだ。体調があまりすぐれないから、再びベットで横になっていると、看護師がやって来た。名前は……なんだっけな。まぁ、覚えたって意味がない。どうせ、死ぬんだから。 「薬飲んでね。体調はどう?」  薬とコップを差し出されてゴクリと飲む。繰り返すこと三回。いまだにどれが何の薬かキチンと分かっていないし、それらを飲んで余命が伸びるわけでもない。  でも、飲む。工場のベルトコンベアに乗っているようなものだ。口腔内に微かに残る苦味に少し顔をしかめた。 「起き上がるのも怠いです」    喋るのも全てがだるい。ズブズブとマットレスに沈み込んでしまいたい。  そしてずっと目を覚まさないでいたい。  「オッケー、熱測ってね」  体温計を渡されて脇に差し込む。  何が「オッケー」なんだ。出来ることは少ないのに。  ぼうっと体温を測っていると、看護師は手早く点滴の準備をしていた。  ピピっと短く音が鳴り、差し出す。意外にもそして珍しく平熱だ。と、言っても高めなのだけど。解熱剤を使うほどではないから、まぁいいや。熱が出ても、どうでもいい。   看護師はメモに記録して、カテーテルに点滴を繋げた。 「何かあったらナースコールしてね」  看護師が去っていくと再び静けさが戻って来た。同じ部屋の患者は朝から検査なのか姿を消している。 「今日の予定は……」  首だけサイドテーブルに向け、カレンダーを見ると『10時 心エコー@Kー1』と書かれていた。  この病院はかなり大きく、待合室がA〜Zまであり、細かく細分化されておる。  それまでは暇だから再び眠りにつくことにした。
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