始まり

7/8
前へ
/100ページ
次へ
「確かに、他の隊員よりは人族を嫌悪してないです。でもそれは、あの子が優しい性格で人族を嫌うことも、恨むことも、憎むことも出来ないからです。 あの子は私達とは逆で人族に対する恐怖心の方が上なんですよ。 その証拠にマスター、貴方のことも怖がっているでしょう? 獣人族である私達はよく見れば、貴方が純粋の人族ではないのはすぐに分かる。なのにあの子はマスター、貴方を未だに怖がっている。 そんなあの子に人族しか居ない学園に通わせるのですか?それも殆どの貴族が通う学園に」 「まぁまぁ、落ち着いて?敬語のままだよ?」 何をのんきに言っているのか・・・マスターもあの子達がどんな仕打ちを人族にされていたのか私がある程度、話をしたから知っていたのにこの仕打ち、怒らないでどうしろと言うのか... もともと、私は人族の肩を持つマスターの考えは分からないし、気にくわないのだ。(まぁ、知りたくもないし、分かりたくも無いけれど) 今でも勝手に私を総帝の座に着かせたことには納得していないのだ。何故、嫌いな奴らを守らなければならない。 そもそも 「あの子は納得したのですか?」 「ん?うん、行くって言ってくれたよ?ツバサが一緒ならって」 そう言うマスターはいつも通り、にこにこ笑っていたのを見てジト目で見て思った。 (嘘ね。絶対に命令したか、脅したか、圧力とかをかけたわね) そこでふと思い出した。そう言えば二日前、私を見て泣きそうな顔をして抱きついてきて急に泣き出したことがあった。あの時は聞いても答えてくれなくてなんで泣いてるのか分からなかったがマスターのせいなのだとわかった。 (なら、獣耳が生えるだけじゃ駄目よねぇ...) ひとまず、あの子がもう行くって言っているなら私からはもう何の言えないため渋々、納得した。 納得したマスターは満足そうな顔をしてたため、マスターはこうなることを分かっていたからずっと笑っていたのだろう。 その顔を見て私は、これはキツいお仕置きが必要だなと思った瞬間だった。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加