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「……うん、今度行こうかなって、ちゃんとした答えになってないじゃん」  顔を上げると、不満そうな顔で千代李が苦笑していた。  「もう、ここで読まないでよ。手紙なんだから、本人の前で読まないルールじゃないの?」  「だって、一言なんだもん。貰った時にすぐ読めちゃうじゃん」  「たしかに、一叶が言う通りだね。でも、なんだか楽しい」  彼女が、制服のポケットから取り出した猫の形の折り紙に「えりから、部活来れそうだったらおいでだって!」と書いたのは私だ。  「水色の水玉の猫って、センスなかったよね。病気みたい」  「実際にいたらね、でもかわいいよ。それに、こういうのっていいよね、手紙交換っていうか」  私の作った折り紙が、プリントの入った透明なクリアファイルの一番上にしまわれる。  「思いついた時は、ちょっと子どもっぽいかもって思ったけど、千代李が喜んでくれてよかった」  「うん、ありがとう。3年になってからは一叶とあんまり話せてなかったから嬉しい」  「え?今まで通り……」  言葉を遮るように、英雄のポロネーズが鳴る。  手紙を渡したくて早めに教室を出はずなのに、もう、12時35分なのかと思う。
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