1,高橋 彩花(あやか)

3/9
前へ
/23ページ
次へ
━━放課後 日直の仕事が終わって教室に帰ると、まだ1人だけ残っている人がいた。  (たしか、あれは……松村さん?) 松村綾乃(あやの)は、イヤホンをしたまま机に突っ伏して寝ていた。 何となく、怖いイメージがあって声をかけづらく、1度も話したことがなかった。  「あの……電気消したいんですけど」 声をかけると綾乃はゆっくり体を起こした。  「……今、何時?」 目を擦りながら聞いてくる。  「6時。綾乃ちゃん、1人なの?」  「……遥、いないし」 綾乃は、少し俯いてそう言った。 遥とは、夏休み中に遠くへ引っ越してしまったクラスメイトのことだ。 そういえば、綾乃はいつも遥と一緒にいた。 ……余計なこと聞いちゃったかな。 それにしても、1人で寂しくないのか…… 私は一瞬、咲妃のことを思い浮かべた。 ……私もそんなに変わらないや。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加