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【イノウエ/七海洋平太】
持ち堪えられなかった桜の花びらを踏み、俺たち新入生が校門に向かっていく。
大きな標示。幼稚な花に縁を飾られた「入学式」の文字。
……正直、感無量だ。やべえ、ちょっと涙出た。
俺の名は「七海 洋平太」。
七つの海、太平洋と覚えればいい。名前はちょっとひっくり返してくれ。
ここには俺の昔の異名、「赤獅子のヨー」を知る者はいない。
この高校は何と言っても、もんのすげえ、名門校だ。死ぬ気で勉強した。 中学三年生の夏から、先公たちを片っ端から捕まえて力づくで教えてもらった。
この半年で俺は変わったのだ。 もうヤンチャは終わり。 今の俺はどう見たって大人しい真面目な生徒だ。
鍛え上げてきた鋼の体には、着たこともない、白いブレザー。 中坊の時にはケンカばかりしていた俺が、まさかこんな風になると誰が予想しただろう。
俺がこの半年で変わったのには訳があった。
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