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【ka*na*mi/沖瀬美波】
ふぁ……と大口を開けてあくびをしそうになって、私は慌てて手のひらで口を隠す。
嫌だわ、私ったら他の生徒の前で……昨日の寝不足が祟ったかしら。
それにしても……あぁ、なんて退屈な代表挨拶なの?
壇上には、ドヤ顔をかまして挨拶文を読み上げている磯田だか磯野だかって男子生徒。
ちょっと顔が整ってるからって、いけ好かないわ。
私は、ソイツに恨めしい視線を送りつけてやった。
本当なら、私、沖瀬 美波 (おきせ みなみ) がその場所に上がるはずだったのよ。 入試の日が、女の子の日と丸被りしなければね……!
品のあるお嬢様口調(うっかりすると素が出ちゃうわ)、
艶のあるロングヘアー(トリートメント3回したわ)、
常に潤んだ大きな瞳(アイプチと目薬欠かせないの)、
それにこのナイスバディ(ブラパッドの数?それはヒミツ♪)!
完璧に作り上げた私で壇上に登り、華々しく高校デビューするはずだったのにッ!
ふぁ……だめ、やっぱり眠い…… 昨日は、遅くまでお兄ちゃんの会社の飲み会に参加してたのよね……
実は私には、花の女子高生の他に、もう一つの顔があるの。
それは…………占い師!
と言っても、まさか路上でやってるわけじゃないわ。お兄ちゃんが働くスマホアプリ制作会社で、アプリの監修をさせてもらってる。
人気アプリ『西園寺の館』の、“西園寺クリステル”とは、そう!私のことよ!
趣味でやってたタロット占いが恐ろしく当たりまくるから、お兄ちゃんにスカウトされたの。まぁ、バイト扱いだけどね。
あら……? 私はふと、後ろから視線を感じて振り返った。
あの生徒……誰だったかしら。
何処かで会ったことあるような気がするんだけど…………
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