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裏切り
あれは・・・・・まだ雪が降り注いでいた頃。
仕事に疲れ果て、一刻も寝床に入る為、風呂に入り夕食を済ませた。
ベッドに入ろうとすると、膀胱に違和感を覚えた。
しかし、季節は冬、しかも外は吹雪のように風が強く、寒かった。
そしてベッドに入ると、違和感で中々眠りにつけない。
一時間程経つも、眠るどころか違和感が強まる。
下半身の俺は忠告した。
「楽にならなければ眠りにつけぬ」
しかし、俺はそれを無視して眠りにつこうとした。
しかし、さらに一時間が経つも一向に眠れない。
未だ下半身は楽にならなければ眠りにつけぬと言う。
俺は真実を語るあいつの言葉を嘘でねじ曲げ、不正を促した。
ただ寒いトイレに行きたくないばかりに。
気のせいだ。
お前の妄想だと・・・しかしそれが真実だとどこかで気づいていた。
真夜中の三時頃になっても、眠れずあいつの言葉が蘇って来る。
俺は心から恥じた。
自分の欲望の為に真実を踏み潰し、忠告を聞かなかった。
あいつは、俺であり俺ではない。
どこか、心に壁があったのかも知れない。
俺は恥じぬ自分になる為に、ベッドから降りて、寒いトイレに向かいお手洗いを済ませた。
しかし、気がつくとただションベンが我慢出来なくなっただけだった。
結局、自分の事を優先したのだ。
俺はベッドに戻ると、1分も経たない内に眠りについた。
やはり、自分に嘘は良くない。
嘘をつかなければ3時間も早く眠れるのだから
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