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「ど……う、して……っ」
「まだイクなよ。俺が良いって言うまで堪えてみろ」
後孔に指が触れるだけでビクビクと震えてしまうのに、楽しげな松本さんの瞳に赤面する。
耐えろって言われたって……
再び中で動き出した瞬間、言葉にならない声を発して腰を反った。
「ひ、ぅんッ……だ、め……ですっ、松本さ……あぁァッ!」
指先が前立腺をくすぐり、脳を突き抜ける快感と共に目の前が一瞬真っ白に染まった。
ガクッガクッと何度も腰が揺れ、意識が飛んでしまいそうになる。
「ハッ……ぁ、あ……」
「堪え性なさすぎ……耐えろっつったのに、そんな気持ちいいの」
「っはぁ、…………うる、さいです……変態……」
「ふ……可愛いな」
「……」
強く抱きしめられると頭がふわふわ浮いた気分になった。
あぁ……松本さんの匂いが好きだ。
優しくて、不思議とゾクッと下腹部が疼く。
悔しい、のに……否定はできない。
何人の女性を虜にしてきたんだろう。
そんな男が、俺に惚れてるなんて。
きっといつか地雷でも踏んでしまいそうだ。
「____痛い……」
明日も仕事だというのに、散々犯されたアナルが悲鳴をあげている。
すっかり外は暗闇状態だが、ベッドの温もりが天国で枕を抱いたまま動けなくなっていた。
「陸のランドセル、明日取りに行くからな。どうしても一緒が良いっつうからあいつも連れて行く」
「……昼まで仕事でしたよね? 明日」
「職場に谷口が連れてくんだよ、あいつ休みだからよ。まぁウチは申請さえ出せば子連れ出勤もできるみたいだしな」
「わぁ……」
仕事中に陸が来るって、変に緊張するな。
悪さをしないか心配だ……
「……お前、社会人とは思えないな」
「は?」
パソコンに向き合っていた体をこちらに向けて言った松本さんには目を丸くした。
突然ディスられるような事をした覚えがない。
「な、何でですか。急に悪口ですか」
「じゃなくて……その枕抱きしめてる格好、社会人でしかも成人男子なのに可愛く見える奴はなかなかいないぞ」
「っ」
褒められるのは苦手だ。
どうして突然優しくなったり……
サッと顔を枕に隠し、もう寝ようと自分に言い聞かせる。
明日も仕事なんだ。
早く眠気よ、来い……
「お、優斗。婆さん家から電話だ、多分陸だぞ」
寝かせてくれ……!
一刻も早く今日の出来事を忘れたいんだ!!
内心思いながらも、結局布団から顔を出してしまった。
「はいはい、どうしたー?」
通話中の松本さんが珍しく眼鏡をかけていて、まるでどこかの教師のようだ。
こんなスパルタ教師、学生時代の担任だったら絶対嫌だな……
「ほらよ、優斗。陸だ」
「えっ」
不意にスマホを渡され、一瞬呆然としたが微かに聞こえる声に慌てて受け取った。
「もしもし、?」
『ゆしゃあん、陸だよぉ』
相変わらず気の抜ける声だ。
可愛い。
「どうしたんだ? こんな時間に」
『おでんわごっこ!』
「ごっこ……」
リアルにしてるけど。
俺は陸に弱くて、この声を聞くとついつい甘やかしたくなってしまう。
もし今、この場にいたらきっと抱きしめていたかもしれない。
「陸、明日は会いに来るんだな。ちゃんと谷口さんの言うこと聞くんだぞ?」
『あい! ゆきネコにも会うの!』
「へ? ゆきネコ?」
『パパがね、明日はおしごとのところに来るよっていってた!』
ゆきネコ……
恐らく、地域限定のご当地キャラクターの事か。
名前は忘れたが、そういえば松本さんから聞いていた気がする。
仕事ではなく、プライベートで会えていたら写真を撮ってあげられたが。
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