占い師 その2

1/1
前へ
/68ページ
次へ

占い師 その2

「こんばんは、七海子さん今日はよろしくお願いします」 電話の向こうから占い師の声が聞こえると、小さく深呼吸をして云うべき言葉を思い浮かべる 「こんばんは、よろしくお願いします」 少しかすれた声でそう言うと、占い師がすぐに答える 「今日はどうされましたか?」 その瞬間に、いい年して恋愛相談なんて滑稽だなと思う 「あのぉ、3年近く付き合った彼から1ヶ月間連絡がなくて…」 言葉を選びながら状況説明をはじめる 占い師が相づちを打ちながら、私の話に耳を傾けているのが分かる 「彼が今、私の事をどう思っているのか、自然消滅を狙っているのか見ていただきたくて」 占い師は私のその言葉にすぐに答えを出した この占い師は霊感のある占い師だ 「彼は七海子さんの事を考えてない訳じゃないですよ。彼は自分に自信をなくしてるみたい。七海子さんからの連絡待ってるみたいですから、元気?って連絡してあげて」 気持ち的には別れる気ですよと言われた方が諦めがついたのに そう思いながらお礼を言って電話を切る 求める答えはこれじゃなかった
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加