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夜。
お店を閉店したあと、あたしは今日の仕入れ作業を始める。いかんせん昼間は忙しくて、仕入れ先から電話が来ても殆ど取ることができないのだ。
この時間ならば、向こうもまだ開いているだろう。というか――引き取って貰えないと困るのは、あちらも同じだ。
「ああ、もしもし……●●商会さん?……わかりました、今から引き取りに行きますね。三十歳男性が一人、五十二歳の男性が一人……でよろしかったかしら?」
あたしはメモを取りながら笑う、笑う。いつもの、近所の人達との世間話の延長で。
「そんな、お気遣いなく!いいんですよお、今のご時世、ご遺体の処分に困っている人がたくさんいるのは当然ですもの。大丈夫、ぜーんぶまるごとお客さんのお腹の中ですもの。証拠なんか、残るはずがありませんわ」
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