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ある4月の12時
おれは昼の12時に家を出た。
ふと、気づいた。
歩いていても、誰もいない。
やけに静まり返っている。
「子供の声もしないなんて。」
つぶやいて、おれは理解した。
飯の時間だ。
不要不急の外出を控えて、みんな各々の家で食っている最中だ。
子供がいると、自然と規則正しくもなるよな。
おれは空を見上げて伸びをし、両手をパッと開いて腕を上げたままリズミカルに振った。
「面白い体操ー!」
どこからか思わぬ笑い声が聞こえた。
スクリーンのなかのチャップリンを気取って、おれはスキップで去っていった。
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