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アプリを開いた私は、目を見張った。
ダイレクトメッセの数が、想像以上に多くて。
出会い目的の専用アプリ。
登録したプロフィール画像は、大したものじゃない。
ナチュラル……ではなく、ただのスッピン。
笑顔も、なんかぎこちない。
まるで学生証に貼られた、証明写真のよう。
それが、可愛い系やギャル系の中に紛れ込んでいる。
間違って登録しちゃった、……みたいな浮きぶり。
こんな女に会いたいとか、金を払ってまで抱きたいとか、思わないだろう。
良くて数件。……そう思っていたのに。
まさか、こんなに来るなんて。
ざっと数十件はある。
そのひとつひとつを開き、メッセージを確認していく。
「………」
携帯を操作する指の動きが、止まる。
男の欲望剥き出し。
がっついてるというか、飢えてるっていうか……
人間の皮を被ったハイエナ、みたいな。
………まぁ、そうだよね。
それ目的なんだから。
引き気味になりながらも、次々とメッセージを開いていけば……目に飛び込んできたのは──
「……え」
《処女なら、五万出すよ》
驚いて、思わず声が漏れる。
一万円とか……中には三千円という低い金額提示がある中……これは、飛び抜けて高い。
でも……それがかえって恐怖心を煽る。
五万円分、何をされるのか──何か裏がありそうで……怖い。
──だけど。このままだったら、何も変わらない……
意を決し、私は返信ボタンを押した。
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