二度目の価値 *

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男と入れ違いに、今度は私がシャワーを浴びる。 しっとりと濡れた髪をそのままに、バスローブ姿で部屋へと戻れば、腰にタオルを巻き付けベッド端に座っていた男が、私に気付いて立ち上がる。 「………初めて、じゃないよね?」 私の背後に回り、二の腕を摑む。と、ベッド脇にある鏡の前まで、半ば強引に誘導された。 初めてじゃない、って……どっちの意味だろう…… 援交か。それとも、セックス自体、か……… 「……大人しい顔して、随分と大胆な子なんだね」 左の耳裏に掛かる、熱い吐息。 ゾクッとして顔を背ければ、剥き出しになった首筋に顔を埋め、熱くて柔いものが当てられる。 ぢゅぶっ、と厭らしい音。嬲られ、強く吸い上げられれば、そこにチリッと痛みが走る。 厭らしく弄る手。 鎖骨の線に沿って指先をそっと滑らせ、その下にある二つの膨らみの根元、ギリギリのラインを攻め始める。 「キスはダメって聞いた事はあるけど……おっぱいがダメ、なんてね──」 そう囁きながら、既に床に落ちた腰タオルを蹴ってどかし、勃ち上がった下半身を私の腰に擦り付ける。 「──コンプレックスでも、あるのかな……?」 「……」 「見た所、Gカップはありそうな、大きくて魅力的なおっぱいをしてるのに……勿体ない」 鏡越しと上からと、男が執拗に胸に執着し始める。 「……ほら、こんなに柔らかそうで、形も良くて美味しそうなのに……」 「……止めて、ください」 静かに、言葉だけで抵抗をすれば、悪ふざけが過ぎたとばかりにニヤリと口元を歪ませる。 その取り繕った笑顔が……気持ち悪い。 想定外に付けられてしまった、キスマーク。 左首筋の根元にクッキリと残るそれは、ちゃんと服で隠れるんだろうかと……ぼんやり頭の中で考える。 まだ湿った髪。 それがシーツの上に、淫らに散る。 ベッドに仰向けに倒されれば、立てた両膝の間を男の顔が近づく。指の腹で恥肉を割り開かれ、露わになった小さな蕾を硬く細めた舌先で刺激する。 嬲り、弾き、貪り……じゅぅ、と音を立てて吸い付き、美味しそうに舐め回す。 コリ、コリ、…… 小さなソレが固く芯を持ち、私に存在を主張してくる。 ヘンな感覚──身体の芯が鈍く痺れて、無理矢理、快楽を呼び起こされるみたいな── 「……」 感じてない、訳じゃない。 だけど……得体の知れない何かが足元から迫ってきて、変な感覚。 気持ち悪い……冷静な私が、そう私に訴えかける。 だからそれに従って、飲み込まれないように抵抗してる、だけ……
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