二度目の価値 *

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内腿に力を入れ膝同士をくっつけようとすれば、そうはさせまいと強引に左右に開かれ、上から強くベッドに押し付けられる。 「……ほら、イヤラシイお汁、いっぱい出てるよ」 「……」 「我慢しないで、声……聞かせてよ」 舌舐めずりをしながら、獣が歩くようにベッドに手を付いて上がってくる。 私の上に跨ぎ、真上から見下げる男の双眸。ギラギラと欲望を滾らせ、剥き出しの本能に一瞬、ゾクッと身体が震える。こんなマグロ状態の私に、男の顔が近付き── 「……!」 いきなり舌先でこじ開けられる、唇の門戸。 ナカへと侵入し、逃げ惑う私の舌を追い掛け、逃すまいと熱い舌を絡める。 強くはないものの、自分の匂いが口に広がって……気持ち悪い。 下に伸ばされた手。その指が濡れそぼつ脚の間を厭らしく弄る。 チュ、クチュ、…… 遠くから聞こえる、指に絡み付くような淫靡な水音。 熱くて柔な粘膜を、何度も何度も擦り上げられ、時折、小さく膨らんだ蕾を刺激してくる。 その下の、小さな割れ目──そこに指先が、ズズ……とゆっくり、押し込まれる。 ──ゃだ…… 息を、飲む。 注射を前にした子供のように、身を硬くしながら。 指が一本、柔い粘膜を押し広げながら根元まで挿入る。その圧と異物感。奥へと突き抜ける、鋭利な痛み。 はぁ…… 唇が離され、咥内が解放されれば、肺に溜まっていた息が、ようやく吐き出される。 「……随分と狭いね」 掻き回された後、大きく曲げ伸ばされる指先。その度に広がる、粘膜を押し広げられた時の感覚…… 「締まりが良いのは、好きだよ。……痛さで歪めた顔を見られるのは、堪らなくそそられるしね」 口を歪めてそう呟いた後、挿入された時よりも早く、指が引き抜かれた。 「……」 膝裏に手を掛けられ、グイッと持ち上げられる。 見下げる男の目。そこに、野心が潜む。 捕らえた獲物を、どう調理して喰ってやろうか……楽しそうに顔を歪め、鋭く光る。 ……まるで、捕食者の目。 その双眸に一度囚えられてしまえば、骨の髄までしゃぶられ、精神をも支配され……この身を、心を、貪り尽くされてしまう。 ぶるっ、と震える身体。 不安に押し潰される精神。 ──大丈夫。 もうすぐ、祐輔くんに……会える。 ……これが終わって、お金を受け取ったら…… 瞼を閉じ、少し先の未来に想いを馳せれば……今置かれてる状況なんて、どうって事ない。 こんなの、今までだって経験してる。 少しだけ……痛みと苦しみと、この不快な気持ち悪さを、ただ息をしてやり過ごせばいい── 止まっていた呼吸が、浅いながらやっと再開する。 それを見計らっていたのか──涎を垂らす男の欲望の切っ先が、割り開かれた小さな秘孔の入口に突き付けられた。
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