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拝啓、松岡くん
あなたがあの日私の前から消えてしまってから幾つもの月日が流れました。
全く何一つ何も言わずに、消えてしまうだなんてズルイと。
何度も何度も泣いたよ。
何度泣いて恨み言を言ってみたって、あなたは戻ってこなかったし、きっとこれから先も私の元に戻ることはないのはもうわかってる。
だからね、松岡くん、私は幸せになろうと思うよ。
あなたと居た頃と同じくらいたくさん笑いあえる人が見つかったから。
ううん、本当はもうね、どっちがどうだとか、もうそんなのはわからない。
だって、あなたの笑顔や声はあの頃の動画でしか思い出すことできないほどに時は流れてしまってるんだもの。
「お時間ですよ」
係の人の声に私は動画を止めて立ち上がる。
「夏帆、行くよ」
振り返った先にいる人は私を見て愛しそうに微笑んで係の人に。
「オレの嫁、日本一キレイ、そう思いません?」
照れもせずに言う台詞に吹き出してから。
彼の手を握る。
もう大丈夫だよ、松岡くん。
私ね、笑えてるから、ね?
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