1 終わりの始まり

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1 終わりの始まり

「お帰り。お前にニュースがあるんだ」 「どうしたの父さん」 科学者の父は学校から帰ってきた学生服の息子に近所に越してきた博士について話し出した。 「前に引っ越してきた人で仲良くしている人でしょう?僕は会ったことがないけど」 「ああ。実はな。彼は旅に出たんだ」 その間、自宅を管理し自由に使って欲しいと言われたと父は息子に鍵を見せた。 「へえ。すごいじゃん」 嬉しそうな父は、今夜、流星を見ようと息子に言った。これは博士のお勧めであり、彼の家には天体望遠鏡があると父は嬉しそうに話した。 父子家族の二人は言われた通り博士の自宅に上がり照明をつけた。 「確かここはお金持ちの別荘だったよね」 「ああ。ええと。これはすごいな?このベッドは核シェルター機能か」 二人は見た事のないカプセル型の機械に興味津々だった。 「……ええと?なになに?これはテレビか」 「すごい機能だね。あ、父さん。ニュースだ」 『……緊急放送です。ソビエト連邦のよるアメリカへの攻撃が開始になりました。これに乗じて中東でも停戦が破られ国際テロリストの攻撃が始まりました。我が日本国においても第三国のミサイル攻撃に首相官邸が……』 世紀末の大戦争の勃発はどこか他人事のように小さなテレビから流れていたのだった。
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