2 世紀末

1/4
26人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

2 世紀末

彼女が目を覚ますとそこは夕日が広がっていた。 「……ここは」 すると頭上から小鳥の(さえず)りが聞こえた。これに目を瞑り寝返りを打った彼女に優しい声が聞こえてきた。 『……Hello。ガイア。私はカオス。愛する君を作った者だ』 この話に彼女はゆっくりと目を開けた。 『さあ、お目覚めだ。手をゆっくりと動かしてごらん』 彼女は声のままゆっくりと体を動かした。そして指示通りに今いるカプセルの外をしみじみと見た。カオスと名乗る声は枕にしていた袋の中の服や靴を身につけるように彼女に命じた。素肌に黒い皮のつなぎとブーツを身に付けた彼女は長い髪を揺らしていた。 「着たわ」 『……右手の赤いスイッチを押し外に出なさい。そして生存者を探しておくれ。ガイア、外に出るのだ』 彼女は命令通りに今まで自分を包んでいたカプセルを開けた。途端に熱波が彼女を襲ったがこれに動じる事なくガイヤはガレキの道に足を踏み入れた。 「私はどこに行けばいい?」 『お前の目には温度が35度以上の物が青く視えるはずだ。これ追いなさい』 「はい」 直接頭に聞こえてくるカオスの声に従いガイヤは荒れた街の跡を歩いて調査した。しかし生き物は発見できず、夜になった。月夜に星が光っていた中、ガイヤは白い煙を見つけた。 彼女はこれを目指し夜を通して歩いて行ったのだった。 コンクリートが粉々になったかつて街といわれたここを彼女は軽々と進み、何者かが使用した焚き火の跡を発見した。 しかし人はいなかった。彼女は周囲を調査した。すると足跡を発見した。これを辿っていくと辛うじて形が残っていた建物に通じていたので、ガイヤは入って行った。 「……」 「おい、お前!手を挙げろ!」 手を挙げた彼女が振り向くとそこには薄汚れた顔の少年がいた。手には銃を持っていた。鋭い目の白眼は煌々と光っていた。 「お前!どこから来たんだ」 「……カオス。生存者を発見しました」 『守りなさい。死なせてはならないよ』 「おい、お前!聞いているのか」 怒りに狂う少年は銃をガイヤの頭に突きつけた。 「聞いているわ……私はガイヤ。あなたを助けに来たのよ」 「嘘だ!俺を殺す気だろう!」 「違うわ」 「嘘だ!」 はあはあと興奮している彼の呼吸や心拍数の乱れを視たガイヤは彼が空腹である事を見抜いた。 「私のポケットに食料があるわよ」 「寄越せ!」 彼は彼女の腰のポケットにねじ込むように手を入れてこれを奪った。栄養ビスケットを彼は飲み込むように口に入れていった。 「……おい、もう無いのか」 「ここには無いの。他の場所に隠してあるわ」 「……お前は何者だ」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!