決勝に向けて

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ーーケイに抜かされた あのときできたことはケイに優しく接する、 それだけだった。 ケイよりも努力したはずだ。 努力はまさか無駄なのか?ーー ユークは悩み続けるばかりだった。 「なんで……なんでなんだよ!」 『さて、第2回戦、今回はトーナメントではなくこちら!』 選手たちがバトルフィールドに集合していた。 司会者が指パッチンをすると会場全体が震え出し、バトルフィールドに魔獣たちが現れた。 選手たちは魔獣を睨みつける。 『これを1人20体倒してもらい、上位2人が決勝へ繋がります!』 「つまりケイはここを突破しないといけないんだね……」 「ケイ……頑張って……」 リズが心配そうに言った。 「安心しろ。あのケイだから。あいつなら絶対大丈夫だ」 オルはニヤッと笑った。 「信じましょう……私たちにできるのはこれだけです」 「負けたら承知しないからな。ケイ」 「ジェイ怖いよ……それに変なプレッシャー与えない方がいい気がするよ。ほら会場の緊張感もすごいよ」 『それでは開始!』 「剣舞・紅の舞!」 ケイが相手する魔獣のうちの半分くらいが倒れた。 上手く技が当たらず焦るケイの横でユークが技を放った。 「剣舞・夜桜の舞」 ユークの剣が不気味に舞った。 そして全ての魔獣に技が通った。 「兄者……」 『おっーと!なんとユーク・メテリオ一撃で魔獣を全て倒したぞ!』 アナウンスが鳴り響き、歓声が沸く。 ほかの剣豪たちは焦りを隠せない。 もちろんケイもだ。 ーーここで我も……やらなければならなイーー 「ふゥ……剣舞・風の舞!」 深呼吸し、もう一度技を放つ。 ケイはもう半分の魔獣たちを倒した。 『おお!なんとケイ・オルチェがモンスターを倒しきったぞ!第2回戦終了!』 「よしっ!突破だ!」 「やりましたね!」 1回戦の時よりもオルたちは盛り上がった。 『剣豪フェスティバル!決勝戦はユーク・メテリオ対ケイ・オルチェ!日時は明日!さて、どっちが勝つでしょうか!?私にも分かりませーん!』 響く歓声の中、ケイはユークを睨んでいた。 「決勝……戦えるのですネ。明日、それぞれベストを尽くしましょウ」 「ああ」 ユークは不気味に笑った。 そしてバトルフィールドを後にした。 去っていく姿をケイは見えなくなるまで見ていた。
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