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深い森の奥。
1人の少年は小さな木箱の机で頬を着いていた。
髪色も瞳も茶色。
その髪ははボサボサで無邪気な様子が伺える。
少年の名はオル。
「これオル!手が止まっとるぞ」
オルの横から大きなドラゴンの顔が覗く。
白い鱗はまるで氷のように輝いている。
「……計算嫌い」
「こんな簡単な計算も出来なくてどうやって立派なドラゴンラスターになるんだ。そもそも魔術師にすらなれないぞ」
ドラゴンは鼻息でオルの髪を揺らす。
「グランクスに言われなくても俺は魔法を使う魔術師だ!」
「オル・アイク。我が氷竜グランクスの力を受けしドラゴンラスター。それなのにお前はなぜそんなにわがままなのだ?」
「良いだろ別に!」
オルは頬を膨らませた。
するとグランクスは空を見上げた。
「やはり同じ人間と接した方がいいのか」
「グランクス? 」
オルは不思議そうにグランクスを見つめた。
「オル、お前はギルドに行け」
「ギルド……って何?」
オルは首を傾げた。
「魔術師たちが集まり仕事をするんだ。もしかしたらお前よりも強いやつがいるかもな」
「マジで!それなら俺行くよ!」
オルはそのまま森を抜けるため走っていってしまった。
「あぁ行ってしまった全くすぐ熱くなる奴だな」
約1時間後。
「おーここが街か」
辺りは人々で埋め尽くされていた。
オルは目をキラキラと輝かせていた。
オルはこんな大きな街に来るのは初めて。
心臓はバクバクしているものの希望に満ちた顔つきをしている。
オルは人混みに突っ込むように走り出した。
しかし、勢いに押されて直ぐに弾かれてしまった。
「なんだよ、もう!」
仕方がなくオルはベンチに座りこんだ。
「腹減った」
ぐるぐるとオルのお腹が鳴る。
「そういや何も持ってきてなかったっけ」
オルは苦笑いをした。
「おい、お前ここで何してるんだ?」
オルの前に大きな影が立つ。
30代だろうか。
赤髪で大荷物を持った男がオルを上から覗き込んでいた。
「え、えーと」
オルが返答に困っていると盛大にお腹が鳴り響く。
「なんだ腹減ってるのか。ホットドッグ食べろよ」
男は左手に持っていたホットドッグをオルに渡すとオルの左隣に座った。
「俺、ジャック・フレイムって言うんだけどお前は?」
「オル・アイク」
貰ったホットドッグを勢いよく口に詰め込みながら言った。
「お前……じゃなくてオルはなんでこんな所に来たんだ?」
「ギルドを探してる」
口についたケチャップをぺろっと舌で拭く。
「なら俺のギルド来るか?」
「ジャック、ギルド入ってるんだ!俺、行きたい!」
「おお、それなら行くぞ!すぐ近くだし。」
二人は歩いていった。
「ここ?」
ジャックの後について行ったオルは衝撃を受けた。
建物はボロボロで修理の後が雑に残されていた。
「ほら入るぞ」
「お、おう」
ジャックが中に入ると歓声が起きた。
その歓声は大人たちのもの。
「よおマスター」
つかさずオルも中に入っていく。
「帰ったかジャック」
杖をもった年寄りがジャックに近づく。
背はオルと同じくらいだ。
「あ、こいつお土産」
「なんじゃ、このガキ」
「俺はガキじゃねぇ!」
オルは大声で叫ぶ。
「俺はオル・アイク。ドラゴンラスターだ!」
「こいつギルドに入りたいらしいから連れてきた」
「なるほど。仕方ないのぉ、ほれ」
マスターはポケットからペンダントを取りだしオルに向かって投げた。
オルはキャッチする。
銀色のペンダントに白い宝石がはまっていた。
「よかったな、お前も今日から仲間だ」
「おう!」
オルは大きく口を開け笑った。
「ただいま」
ドアが開いた。
外の光が差し込むと少女が立っていた。
周りはガヤガヤしていたが存在感があった。
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