その瞳に嘘はない

2/2
38人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「な、変われただろ」 「うん、ありがとう。全部花ちゃんのお陰だよ」  イジメられて学校に行かなくなった私の元に毎日プリントを届けに来てくれた花ちゃん。  最初はそんな情けない自分を見られたくなくて会うことが出来なかった。  そんな私にイラついたらしく、ある日突然、花ちゃんは部屋の扉を勢いよく開けて入ってくると「いつまで引き篭もってるつもりだよ!」と開口一番に言った。  それから毎日私の部屋にズカズカ入って来ては、その日に出た宿題などを一緒にさせられたけど、無理に学校に連れて行くことはしなかった。  そんな花ちゃんが変わる勇気をくれたから、今私はこうして学校にいる。  お昼休みの屋上で、一緒にお弁当を食べながら思い出すのは自分が変わった事でも、私をイジメてた三人の女子の事でもない。  花ちゃんと過ごした時間のことばかり。 「んじゃ、礼として玉子焼きもーらい」  ほいっと取られた玉子焼き。  また花ちゃんとこんな風に過ごせるなんて思わなかった。  家が近い花ちゃんとは小さい頃から一緒で、高校生になってもその関係は変わらなかった。  私が高校に行くと言えば、花ちゃんも行くと言って同じところを受け二人合格。  ずっと私の後を花ちゃんがついてきてるような感覚だったけど、本当は違うんだって気づいた。 「花ちゃんって、私の事が心配だから側にいてくれてるの?」  自意識過剰だろうかと思いながら尋ねたら「気づいてなかったのかよ」と笑みを向けられ、私は本当にいい友達を持ったなとしみじみ思う。  私は知らず知らずの間に、花ちゃんに守られていたみたい。 「じゃあ、私は花ちゃんを守る」 「ばーか、おまえに守られるようになったらおしまいだっつーの」  誰も来ない屋上には、私と花ちゃんの笑い声が響き渡る。  今まで私は何を怖がっていたんだろう。  頼りになる友達がずっと側にいたのに。 「いい友達をもったなー」  空を仰いで大きな声で呟けば「だろ?」と目を細めて笑みを向けてくる花ちゃん。  やっぱり私はこの優しい瞳が好きであり苦手だ。 ─end─
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!