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あなたとハーブティーを
「こんにちは」
「あら、隆明君。爽子はまだ帰ってないのよ」
「そうですか。約束したんですけど」
「どうぞ?中で待ってね」
女子大生の清子は妹のボーイフレンドの高校生の隆明を自宅にあげた。
「部活はどうなの?試合は」
「今度大会です。出られるかわかんないですけど」
「だめよ。そんな弱気じゃ。出ても勝てないじゃないの」
「監督にもそう言われました」
「練習しているんだもの。自信持って欲しいな」
テニスの選手の彼に、清子はお茶を淹れようとしたが、一応彼に聞いた。
「ハーブティーって飲んだことある?」
「ないです」
「最近凝っているんだけど。飲んでみない?」
「お願いします」
清子はテーブルにガラスポットを持ってきた。
「ここに、庭で摘んできたハーブを入れます。それ!」
「結構入れるんですね」
「そうよ。そしてお湯を……得意の目分量で……」
ガラスポットの中のグリーンはゆっくりと漂っていた。お湯の色はだんだん鮮やかな色になっていた。
「これってなんのハーブですか」
「カモミールよ。カフェインもないし、リラックス効果があるの」
「詳しいんですね」
「ううん。実はさっき慌ててネットで見たの?ウフフ」
「ハハハ」
そしてカップに注ぎハーブティーを淹れた。
「香りがスースーしますね」
「そういうものなの。どうぞ」
「いただきます」
「私も飲もうっと」
彼はホッとすると言いながら、熱いお茶をゆっくり飲んでいた。この時、妹が帰ってきたので清子は彼を託し、部屋を後にしたのだった。
そして翌朝。妹はハーブティーを淹れてみたいと言い出した。
「どうしてまた急に」
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