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「しかしさ。人を押し除けてまで行く心理。わかんないわよね……」
「そうですよ。理性がない証拠です」
「私なんかいつも取り残されてさ」
「違いますよ?僕らの周りが早すぎなんですよ」
そんな二人は本音トークで盛り上がり割り勘で店を出た。
「いや。食べ過ぎた」
「そうですね。少し歩きましょうか」
帰り道が一緒の二人は痩せたいと言い、道を進み出した。
冬の夜。心地よい空気の月は眩しかった。
そしてバス停を3つ分歩きやってきたバスに乗った。
悠美は特に連絡先を交換せず先にバスを降りた。彼はバスの中から彼女に会釈をし見えなくなって行った。
……まあ。私にしては素敵な話かもね……
こんな悠美はまたいつものように仕事をする日々を送っていた。
しかし彼女に友人男性から連絡が来た。
「え?詐欺?」
『そう……同窓会で』
悠美の初恋の豊は、悠美以外の参加女子に手をだまし、挙句にお金を貢がせていたと友人は話した。
『みんなは結婚しようって言われて貸したらしいぞ。悠美は?』
「全く知らないね」
恐ろしい話もあるもんだと思いながら彼女は地下鉄で帰ってきた。なぜか最近は山口に逢わなくなっていた。
……もしかして、嫌われたかな……
待合室で待った彼女はなぜか無性に山口に会いたくなって、最終バスの時間までここで待っていた。しかし彼は来なかった。
仕方なくバスに向かおうとしたが、酒に酔ったオヤジがいたので彼女はタクシー乗り場にやってきた。
そこには紳士が先に待ち、悠美も一緒にどうかと誘ってくれた。
「どちらまでですか?」
「私はいいので……先にどうぞ」
こんな悠美は一人ポツンとタクシーが来るのを待っていた。
……来ないな……ん?
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