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女王様の恋
「あ・え・い・お・え・お・あ・お」
「ねえ、ちょっと相談があるんだけど」
発生練習をしていた珠美は先輩と体育座りをした。
「ええ?私がSMの女王様ですか」
「うん。やってくれないかな」
劇団員の年上の女先輩は骨折した右腕を見せて珠美に話した。
彼女は生活が苦しいのでバイトでSMの女王様をしていると打ち明けた。
「今、辞めるとせっかくついたお客さんが他の店に行ってしまうのよ」
「無理ですよ?私はそんな趣味はないのに」
「私もないわよ」
先輩は女王を演じているだけと話した。
「あなた以前、女王役をしたじゃない。あれでいいのよ」
「でも。変態さんの相手は」
「怖がらなくて良いわよ」
客は決して彼女に手を触れないと先輩は断言した。
「それにね。お店の人が監視しているからあなたが何かされることはないわ。縛って鞭で打っていていれば良いのよ」
「それだけで良いんですか」
「ええ。後は罵ってやれば喜ぶわ……」
そしてその期間の収入は珠美に譲るというので懐の寂しい彼女はひとまずその店に来てみた。
「いいね。君。女王様のコスプレも似合いそうだよ」
「そんなこと言われたの初めてです」
しかし、演劇で女王様をやったことのある珠美は女先輩と店長の前で着替えて見せた。
「いいじゃない」
「ああ。様になってるね」
「恥ずかしいですけど。この仮面をつけると、弾けますね……」
自分が変身したみたいな気分で高揚していた彼女は女先輩の指導で常連客で練習を始めた。
「そうです。ここに紐を通すんですよ。そうです」
「お客さんにやってもらってすいません……ど、どうですか?」
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