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プロローグ 1/2 ~sideノア~
「赤髪の雷剣」。
彼は私を知らないだろう。
15歳の魔法認定式典。
声を掛けられなかった。
勇気が出せなかった事をずっと悔やんでいた。
赤毛に明るい水色の瞳と、鮮烈なきらめく魔力。
忘れられなかった。
朗らかな表情に凛とした姿。
私とほとんど歳が変わらないのに。
皇都の宮殿で、同世代の誰よりも堂々として見えた。
みんなが彼に注目していた。
けれど彼は視線を集めている自覚がないようだった。
彼は私の憧れだった。
再会した彼は、一見するとずいぶんくたびれた外見だった。
目立つ赤毛は茶色に染めている、または魔法で変えているのか。
けれどその立ち姿。そして顔立ち。瞳。すぐに分かった。
私が想像した姿より何倍も素晴らしい。
彼が並大抵ではない人になったのだと、感じ取れた。
だから私は知った。
これで終わるのだと。
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