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薔薇の番人 3
風が薔薇の香りを運んできた。
薔薇みたいな美形って、いったいどんな人だろう。
そんな風に例えられる人は、皇都にもほとんどいない。
田舎だから美化されているのか、本当に美しいのか。
少し待つと、また扉が開いた。
辺境伯のお出ましか!
出てきたのは燕尾服っぽい制服の、細身で長身の男だった。
なんだ。辺境伯じゃないのか。
「お待たせいたしました。私は館の執事でございます。」
執事は優雅に一礼した。
眼光鋭い。警戒されてるなあ。
まあ、けっこうボロを着てるもんなあ。
急いで来たから、4日は風呂に入っていないし。
髪もぼさぼさ、無精ひげもあるし。
貴族の館を訪問する恰好ではない、という自覚はある。
とはいえ、身なりを整えている余裕はない。
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