ヒューストン、聞こえる?

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息を一吸いして、顎を引く。 マイクに向かい、なるべく感情がこもらないように押し殺した声で囁いた。 「それでは、これで最後の通信を終えます。 ヨーソロー。良い旅を」 言いたいことは色々あった。送りたい言葉はたくさんあった。 "必ず新天地にたどり着けますように" "みんなどうか無事でありますように" "そして" "そして願わくば" ――"私の事を忘れないでいて" しかし、言ったところでどうなる。 旅立つ彼らの心に、小さな、けれど落とせない染みを残すだけだ。 自分の口が、余計なことを言い出さないうちに。 声音とは裏腹に、慌ただしく震える手で通信機の電源を落とした。 ――静寂が痛いほどに耳を打つ。 しかしこれは。これから続く永劫の静寂の、はじまりでしかないのだ。
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