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――3年後。
王宮の庭園を歩く、仲睦まじい夫婦がいた。昨年王位を継いだ、新たな王が愛しい妻の手を取り、まなじりを下げている。
美しく咲き誇った白薔薇を、懐かし気に見つめる2人はエドワードとフェイリアーである。
「城下町で買った薔薇も、すっかり大きくなったな」
「植物の成長は早いですわね」
「子の成長も早いと聞く」
「あなたの気も早いのね」
愛し気にフェイリアーは腹に手を添えた。小さな命が宿ったことを知った二人は、妙に感慨深くなり、薔薇が見たくなったのだった。
「レイやセシルからお祝いを頂いたわ」
エドワードはほんの少し、眉をひそめて不機嫌な顔をした。その表情に笑いそうになりながら、フェイリアーは話を続ける。
「レイはもともと婚約者がいるもの。それに、セシルもお友だちで満足していると言っていたではありませんか」
「分かっているさ。分かっているのだが」
頑張って文句を飲み込もうとする夫の姿に、フェイリアーは耐え切れず、ついに笑い声をあげた。
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