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兄ちゃんと薫さんに挟まれて廊下を歩いて食堂へ。
すれ違う人が固まったり転けたりしてて僕達以外の時間が止まったのかな、見えないトラップでもあったのかなってちょっと心配になったけど、2人が大丈夫って言うから多分大丈夫。
そして案内してもらった食堂もやっぱり豪華でレストランみたいな内装。
しかも食べたいモノを選んでタッチパネル操作すればテーブルまで持ってきてくれるお金持ちシステム。
「夏芽、ここ座っていいよ」
「ありがとう」
「どういたしまして」
オマケに兄ちゃんが椅子を引いてエスコートしてくれるから至れり尽くせりで申し訳ないな…
「兄ちゃん、僕場違いじゃない?」
「なんで?」
「この学校すごくキラキラしてて、僕だけすごく平凡だから…」
「俺は夏芽を平凡だなんて思わないよ?ちゃんとこの学園に見合ってる」
「本当?」
「うん、今まで兄ちゃんが夏芽に嘘吐いたことある?」
「…ない」
うん、ない。
兄ちゃんは僕に嘘付いたり騙したことなんてない、うん。
「夏芽きゅんは可愛いよ?天使な夏芽きゅんが平凡なら薫くん蓑虫だからね!」
「う、うん…」
「薫くんの信頼度低っ!」
薫さんは…チャラチャラしてて軽くて遊んでそうだけど、蓑虫じゃないよ?
「ほら、薫もそう言ってるから夏芽はなにも気にしなくていいからね?もし何か嫌なこと言われたら兄ちゃんがどうにかするから、気にせず言うんだよ?」
「うん、ありがとう兄ちゃん」
「ふふ、どういたしまして。さて、俺はハンバーグにするけど夏芽はオムライスでいい?」
兄ちゃんと並んでメニューを見ていくけど、どれも美味しそうで気になる…
「…うーん」
「他に美味しそうなの見つけたの?」
「ハンバーグも美味しそうだなって…」
でも、両方は食べられない…残すのは絶対ダメだもん。
今日はオムライスにして、明日ハンバーグ頼も。
「やっぱりオムライスでいいや」
「あ、じゃぁよかったら兄ちゃんと半分子しない?」
「はんぶんこ?」
「そう。兄ちゃんも実はオムライスいいなって思ってたから」
「…いいの?」
「いいよ?他に気になるのは?」
「ない…ありがとう兄ちゃん」
「ふふ…夏芽こそ俺のワガママ聞いてくれてありがとね」
優しくて気遣いが出来る兄ちゃんはやっぱりすごいな…
「薫くんカレーにするけど夏芽きゅんも食べる?いいよ?」
「ううん、大丈夫だよ?ありがとう」
「お肉あげるからぁ…」
「兄ちゃんのハンバーグあるからいらないよ?」
「冬雪ばっかり兄ちゃん面してズルい!薫くんも夏芽きゅんからお兄ちゃんって呼ばれたいぃ!」
「僕の兄ちゃんは冬雪兄ちゃんだけだもん」
「誇らしげな冬雪が憎い!今から生まれ変わって俺も冬雪になる!さよなら俺の体!」
って叫んだ薫さんが急に自分で自分の首絞め始めちゃった、え、本気?
「薫さん死んじゃうの?」
「死なない!生きる!このまま浅葱薫として夏芽きゅんを信仰していきます!」
「信仰してちゃんと布教しなよ薫」
「もちろんさ!夏芽教にヒカリを!!」
兄ちゃんも薫さんも大袈裟だね、ふふ…
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