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お昼ご飯
「夏芽」
4限目終了のチャイムが鳴って数分してから兄ちゃんが教室に入ってきた。
けど、みんな震えが治まってたのにまたガタガタ震え始めてちょっと心配。みんな寒がりさんなんだね。
「兄ちゃん、本当に来てくれたんだね」
「夏芽との約束破ったりしないよ。午前の授業はどうだった?」
「うん、薫さんが教えてくれたんだけど、すっごく分かりやすかった」
「ふっふーーん!ドヤァ!」
前の学校ではここより少し先の単元やってたけど、今日やったところもイマイチ分かってなかったから。
「そっかそっか。きっと夏芽が覚えるのが早いのもあるんじゃないかな」
「そ、そうかな…へへ…」
「偉い偉い。さて食堂に案内するね」
「うん」
「あれ?薫くんのこと見えてない?ココって薫ありがとうって言ってもらえるポイントじゃないの?ねぇねぇ」
仁王立ちで腰に両腕宛てて鼻息荒くちょっと誇らしげな薫さん、ちょっとカワイイ。
「兄ちゃん、薫さんが褒めてって言ってる」
「そう?夏芽のこと頼んであるんだからやって当たり前のことしただけだよ?ね、薫?」
「うっは!扱いの温度差サイコー!ゴチです!美人×キュートとかご飯3杯いけます!薫くんです!」
「よく分からないけどご飯奢ってって言われてるよ兄ちゃん」
「薫ってば胃袋無いから水だけで生きていけるんだよ、だから夏芽は気にしなくていい」
「でもさっきお腹鳴ってたよ?」
「イヤン、夏芽きゅんのエッチ!」
……聞き間違いだったみたい。
「兄ちゃん、ご飯食べ行こ?」
すき焼きあるかな。
でもオムライスも食べたい。
「すき焼きは夜にして、グラタンかオムライスにする?」
「うん、さすが兄ちゃん。僕が考えてること分かってるみたい」
「そう?じゃぁ後でジャンケンして何回相子が続くかやってみようか」
「それ楽しそう…目標3回ね」
「あれ、ねぇ夏芽きゅん?薫くんのこと忘れちゃった?ねぇねぇ、薫くん寂しいよぉ…」
犬耳と尻尾が見える気がする…シュンってしててやり過ぎたかなってちょっと反省。
「ごめんね?薫さんもお昼一緒に行こ?」
「あぁぁぁ天使!夏芽きゅんマジ天使!どうかこの憐れな平民に祝福をぉ!」
「え、え?」
片膝立てて両手を組んでお祈りするみたいにされたらちょっとどうしたらいいか分からないよ?
「祝福を」
「これでいいの?」
「はぁぁぁ!オレもう天に召されても文句言わない!」
「薫天国に行けるの?俺てっきりこの世を彷徨うのかと思ってた」
「天に召さてれ天使の夏芽きゅんに仕えるの」
「薫が夏芽の召使いになってくれるって」
「召使いなんて…僕は兄ちゃんが居てくれたらそれだけでいいのに…」
「あっはーん!美味しいのに嫉妬しちゃうぅぅぅ!なにこの感情!」
「知らないよ。ほら、夏芽早く行こう?」
「うん」
教室の皆は…何人か僕達を見て固まってたけど、寒くて凍っちゃった?
お昼終わるまでには解けるかな?
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