もはやがばわないばあちゃん

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 そして近年突如として浮上してきたのが、がばいばあちゃんの「がばい有料化」疑惑である。がばいばあちゃんにがばわれた実の孫が、「がばわれたぶんのギャランティーが翌年のお年玉から天引きされている」という衝撃の事実を訴え出たのである。  実際のところは「孫の両親が、がばいばあちゃんから孫に渡されるお年玉袋を事前にチェックし、その半分を抜き取って勝手に貯金に回していた」ということが後に判明したが、この事件以降、がばいばあちゃんのがばう回数が明らかに減少したというデータが明らかになっている。  本音を言えばがばいばあちゃんだって、「がばうよりがばわれたい」という乙女心を、いまだ心の奥底に宿しているのかもしれない。  だとするならば、近ごろのがばいばあちゃんのがばい不足あるいはがばい放棄を、強く責めることなど誰にできるだろうか。むしろがばいばあちゃんにがばわれることを心待ちにするばかりで、すすんで他人をがばうことを怠ってきた自らの過去をこそ恥ずべきではないか。  今こそ「がばうとは何か」、その意味を改めて考えるべき段階に来ているのかもしれない。
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