0人が本棚に入れています
本棚に追加
もはやがばわないばあちゃん
がばいばあちゃんが思ったほどがばわなくなったのはいつの日からだろうか。
がばいばあちゃんは、とにかくいつでも誰にでもがばうばあちゃんだった。イケメンにも不細工にも分けへだてなくがばうし、いったんがばうと決めたら老若男女も国籍も問わない。西に倒れている人あれば駆けつけてこれをがばうし、東に食い逃げ犯あれば持っている杖をためらいなく抛ってがばう。
たとえば若手刑事とがばいばあちゃんがバディを組んだとして、拳銃を持った犯人が目の前に現れ、がばいばあちゃんの脇腹を撃ち抜いたとする。
瀕死のがばいばあちゃんは自分を助けに駆けつけた若手刑事に対し、「ここはあたしにがばわず逃げな! あたしにがばうな!」と言って真っ先に若手刑事をがばうことだろう。
しかし彼女による慈悲深いがばいは、時に若者の反感を買うこともあった。以前年若いロボット運転手の頬を強くがばった際、がばわれた少年は以下のような台詞を叫びつつ、がばいばあちゃんを射るように睨めつけたという。
「がばったね! 親父にもがばわれたことないのに!」
だが優柔不断だった少年は、その日から目に見えて強くなったと言われている。
最初のコメントを投稿しよう!