第二話 二次元同性愛者の姉に出会いを作るまで

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驚きを隠せなものの、気を取り直して話を探ってみる。 「その人と風乃は、接点とかあるの?」 「ないよ」 「え?」 「ないよ」 「……」 「じゃ、その人の名前は知ってる?」 「えーと、なんだったかな。たち…川だったような、たちばなだったような」 「…下の名前は?」 「知らない」 ………マジか。 少し人見知り気味な風乃のことなので、二言三言会話した程度の仲だと思っていたが、想像を遥かに下回っていた。 これじゃあ人見知りではなくコミュ症だろう。 いや、でも、まだ気になって数日とかなのかもしれない。ほら、夏季講習で一緒になったとか。 「ちなみに、その人はいつから気になってたの?」 「入学してからずっと?」 「……」 急に黙り出した私を不審に思ったのか、風乃は首を傾げる。 「月乃?」 「……話を変わるけどさ」 「うん」 「大学入学してから、友達とか、できた?」 「ぇっ…そんなの」 口ごもる風乃を前に、私は一番最悪な答えが帰ってこないことを祈った。 「あるに決まってるでしょ? そこまで私のことコミュ症扱いしていると、お姉ちゃん怒っちゃうぞ」 コツン、と軽い調子で私の頭を叩く風乃。 よかった、孤立していないみたいで。 おかしそうに笑う風乃につられて私も笑う。 ふと時計を見ると、もう10時だった。さっさとお風呂に入って寝てしまおう。 夏休みとはいえ、夜更かしは禁物だ。 「じゃ、また明日ね。もう徹夜はしちゃダメだからね」 「そーね、出来るだけ頑張ってみる」 どっちつかずのの風乃らしい答えを聞きながら、私はお風呂場へ直行した。 浴槽の中で考える。風乃に好きな人がいたとは手っ取り早い。 せっかく考えた計画が徒労に終わったのは残念だったが、風乃の容姿なら話したことがないなら、成功率はかなり高いだろう。 風乃とその人が付き合ったら、今度充とダブルデートしてみたいな。
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